eスポーツとゲームの健全かつ健康的な活用①臨床心理士・神崎保孝先生

2020.5.14

【研究者の眼】 臨床心理士・神崎保孝先生

eスポーツとゲームの健全かつ健康的な活用①
――「ゲーム症/障害」「モラルパニック」の攻略がもたらす新世代の文化――

参画研究者の知見をご紹介する新企画「研究者の眼」。

記念すべき第一回は、日本トップレベルのeモータースポーツチーム「ニワカゲームス」の指導者であり、「ゲーム症/障害(通称:ゲーム依存)」が新設されたWHOのプロジェクトにも参加協力経験がある臨床心理学の専門家、臨床心理士・神崎保孝先生にリモート形式のインタビューでお話を伺います。

神崎先生は、学校や病院で指導やカウンセリングなどの臨床活動を行う傍ら、国内のeスポーツ業界初、心理学の臨床家としてeスポーツチームと顧問契約を結んだパイオニアです。

インタビューでは、eスポーツやゲームの現状・課題・可能性について、網羅的に解説して頂きます。


臨床心理学と臨床心理士

―――神崎先生、本日はリモートインタビューよろしくお願いします!まず初めに、臨床心理士について教えてください。

こちらこそよろしくお願いいたします。臨床心理士とは、臨床心理学を学術基盤とする心理職の専門家資格です。臨床心理学は、「臨床」の名が意味する通り、いわゆるメンタル面の不調と人間心理との関連性がテーマで、具体的には精神疾患や不適応の分析・支援・治療などへの寄与を目的としています。

有名な方で言えば、「ホンマでっか!?TV」にご出演中の植木理恵先生が臨床心理士だそうです。また、「逃げるは恥だが役に立つ」のドラマで新垣結衣さんが演じた主人公の森山みくりは、大学院を出て臨床心理士資格まで取得したものの、臨床現場のカウンセラーとしては就職できず……という設定のようです。

なお、最近になって公認心理師という国家資格もできましたが、臨床心理士試験を受験するためには指定大学院の修了が必須であるのに対し、公認心理師試験は大卒+実務経験で受験することが可能なため、今から心理職を志望される方には、公認心理師の方が受験しやすいかもしれません。ただ、将来的なキャリアアップとしては、是非とも臨床心理士を目指して頂ければ個人的にはうれしく思います。

―――海外の映画やドラマではカウンセリングのシーンをよく見かけますが、日本ではまだまだ珍しいような気がします。神崎先生は、どうして臨床心理士になろうと思われたのですか?

学生時代の自分の体験がきっかけで臨床心理士を志しました。元々は、将来の夢など特にないタイプの学生で、両親や親族が九州大学出身で公務員や大学教員なので、何となく自分も同じような進路に進もうくらいに思っておりました。しかし、進学校だった高校生時代に、ふとしたことから心身の不調が続いて学業が遅れてしまい、結局は遅れを取り戻せずに進路を見直さざるを得なくなりました。

そんな時に、大学の先生の面談と、心療内科の先生の診察と、臨床心理士の先生のカウンセリングを、それぞれ受ける機会がありまして、そこで感銘を受けて……と言いたいところですが、正直に申し上げますと実際は、大学の先生からは自説をひたすら語られ、心療内科の先生は薬のことで話が終わり、臨床心理士の先生は私が何かしゃべるまで終始無言という、三者三様の時間でした。その中で、高校生の身としてはカウンセリングの時間が一番「マシ」に感じましたので、臨床心理士という職業に興味を持ちました。

思い返してみれば、小さい頃から色々と考え事の多い性格で、例えば小学生時代に青空を見上げた時、「今見えている青い色は、本当にほかの人が見ている色と一緒なのだろうか」「もしかしたら、ほかの人には空が真っ赤に見えているのに、ほかの人は赤のことを青と呼んでいるので、一周回って見え方の違いに気付いていないだけなのではないか」などと考え込むことがよくありました。心理学を学ぶようになってから、この概念に「逆転クオリア」という名前が付いていることを知り、とてもスッキリしたのを覚えておりますが、答えの見つからないことをあれこれと自問自答しがちな少年でしたので、心理学に興味を持ちやすい素地はあったのかもしれません。

その後は、当時新設されて間もない臨床心理士指定大学院があり、学界の権威の先生方が集まっておられましたので、そちらの大学院を修了して臨床心理士資格を取得しました。

―――まさに「人に歴史あり」という志望動機で、とても興味深いお話です。「逆転クオリア」という概念も初めて聞きました。たしかにそう考えると、人間の心理とは本当に不思議なものですね。その心理学がご専門ですが、普段はどのようなお仕事をしていらっしゃるのですか?

主に、教育や医療の分野でカウンセリングを行っているほか、教育委員会のスーパーバイザーや総合病院のアドバイザーなどを務めておりますので、教職員や医療従事者の先生方への助言・研修指導に携わっております。ご招聘頂いた講演会や研修会は、福岡県内の個別の機関での研修講師から、年次の全国会議における記念講演者まで様々です。

また、事件・事故や災害が起きた際には、当該地域の各行政機関からのご依頼で心のケアに赴くことがあり、これまでに殺人事件や自死などのケースのほか、熊本地震の災害派遣の際には、福岡県内の他のスクールカウンセラーの先生方とチームを組み、益城町周辺の大津町や西原村の学校を数校受け持ちました。そのほかには、裁判の鑑定人への選任を受けて第三者調査や心理鑑定を行ったり、国際的な心理検査の日本国内向けの適用調査に参加協力をさせて頂いたりなどしました。

最近で言えば、新型コロナウィルス感染症のPCR検査の陽性者の方を対象とした、オンコール【※病院外において緊急連絡に対応する形式】による遠隔地からのリモートカウンセリングを担当しております。医療現場の最前線は本当に疲弊している状況にありますので、微力ながら職責としてメンタルヘルスケアに当たっているところです。

―――医療関係のみなさまには、本当に心から感謝の気持ちで一杯です。神崎先生も、学校や病院を中心に九州内から全国規模のお仕事まで大変お忙しくていらっしゃいますが、eスポーツやゲームの分野ではどのようなお立場でいらっしゃるのですか?

国内のeスポーツ業界で初めて、心理学の臨床家としてeスポーツチーム「ニワカゲームス」さんと顧問契約を結ばせて頂きました。ニワカゲームスは、福岡のIT企業のニワカソフト株式会社さんが運営するeモータースポーツチームで、国体プログラムとなった「グランツーリスモ」に取り組むeスポーツの活動だけでなく、プロレーサーの方のご協力を得てレーシングカー搭乗やスプリントカートレースなども実施し、eスポーツとリアルスポーツの融合によって心身の成長を図っている先進的なチームです。国体の福岡県代表選手を複数名輩出し、おかげ様で茨城国体では銀メダルを獲得するなど、選手層・チーム環境ともに日本トップレベルです。私は、競技力の強化とゲームの健全かつ健康的な活用を目的として、選手のみなさんからは心理分析やメンタルトレーニングをお引き受けし、チームスタッフのみなさんには心理学的なアドバイザリーをご提案しております。

また、このほど「Gaming Disorder」がWHOの「ICD」という国際診断基準に新設されたことで話題になりましたが、そのWHOのICDの改訂プロジェクトに2013年から末席ですが参加協力をさせて頂きました。

「Gaming Disorder」(ゲーム症)

―――国体での銀メダル獲得おめでとうございます!ニワカゲームスさんのご活躍は有名ですのでテレビなどでもよく拝見しています。地元福岡が誇るeスポーツチームとして応援してますので、是非これからも頑張ってください!また、WHOの新しい診断基準については、一時期盛んに報道していたので印象に残っています。その「Gaming Disorder」とは「ゲーム依存」のことでしょうか?

応援ありがとうございます。選手全員の豊かな個性と弛まぬ努力、そして、ご関係各位のシームレスなサポートの結実です。ニワカゲームスは、ラボと呼んでいるグランツーリスモのトレーニング施設を完備し、選手・ご家族、スポンサー各位、チームスタッフが一丸となって、本気でeモータースポーツに取り組んでいる熱量あるチームです。選手の年齢構成も大人から小学生までと幅広く、そこにプロレーサーの方や私が監修やアドバイザーとして参画しており、多様な学びがあることも強化方針のひとつです。また良いご報告ができるよう精進します。

Gaming Disorderについては、日本国内では「ゲーム依存」という言葉が一般的に出回っているようですが、日本の専門学会が提唱している訳語は「ゲーム症」もしくは「ゲーム障害」ですので、ゲーム依存という呼び方ですと、あくまでも通称・俗称になります。Gaming Disorderに限らないことですが、メンタルに関連する情報にはただでさえ誤解や偏見が多い中で、ややもすれば差別の助長にもつながりかねませんので、一臨床家としては正式にゲーム症・ゲーム障害と呼びたいと思います。

神崎先生のメンタルトレーニングの個別指導には小学生の受講者の姿も【2019年撮影】

―――たしかに、メンタルについての偏見や差別は社会問題ですし、お立場上それらを防ぎたいというお気持ちでいらっしゃると思います。それでは神崎先生のご配慮にそって、本記事では「ゲーム症/障害」という呼び方で統一したいと思います。まずは、ゲーム症/障害の診断項目について教えてください。

診断項目の要点としては

  • 「ゲーム使用の時間や頻度などのコントロールに障害が見られること」
  • 「ゲーム使用が他の生活上の利益や日常の活動よりも優先されていること」
  • 「否定的な結果が生じているにもかかわらずゲーム使用に継続やエスカレートが見られ、学業や職業などにまで著しい障害がもたらされていること」
  • が挙げられています。

なお、オンライン・オフライン両方ともに対象とされ、重症例以外、原則的には一連の状態が少なくとも12か月間にわたって明らかであることで診断に至るとされています。

―――イメージ的には、当てはまる方が多いような少ないような、どちらにも感じるのですが、診断項目に実際に当てはまる方はどれくらいの数いるのでしょうか?

おっしゃる通りで、学生年代でゲームがお好きな方々は、特にコントロールや優先度の項目には比較的当てはまりやすいのではないかと思います。2018年時点でWHOからは、疫学に係る情報としてゲーム症/障害はゲームに関わる人々のごく一部のみとアナウンスされていますが、結論的には、まだ正確なことは分かっていません。

まず前提として、今回ゲーム症/障害が新設されたICDは、第11回の改訂版ですので「ICD-11」と呼ばれますが、現行として臨床現場で使われているのは、ひとつ前の版の「ICD-10」であり、こちらのICD-10の中ではゲーム症/障害は存在していないためです。

ICD-11は、テドロス事務局長のもと2018年の発表を経て2019年のWHO総会で採択されましたが、正式な発効は2022年と予定されています。目下、日本国内においても適用へ向けた準備が進められている段階で、2019年時点ではその作業に1~2年を要するとの見通しが示されていましたので、運用そのものはまだ少し先になる見込みです。

―――大々的に報道していたので、もう既に新しい診断基準に切り替わったのだろうと思っていましたが、まだ少し先の話なのですね。テドロス事務局長のお名前は、新型コロナウィルス感染症関係のニュースでよく拝見しています。しかし、ICD-11への切り替えはまだ先と言っても、ゲーム症/障害が新設されたことについては不安になります。

ご不安になられるのは無理もありません。ゲーム症/障害は、これまでなかった新しい診断名ですし、正確な有病率などの全貌が見えてこないこともあって、不安心理がつのりやすい状況です。例えば、私のところに相談に来られる保護者の方の中でも、お子さんのゲーム使用に関する相談件数が最近増加傾向にありますので、潜在的に心配しておられる保護者のみなさんも多いことと思います。

また、ICD-11におけるゲーム症/障害の新設の賛否をめぐっては、専門家の間でも未だに国際的な議論の最中ですので、私としても経過を注視している状況にあります。

―――やはり不安になっていらっしゃる方も多いのでしょうか、ゲームについてのカウンセリングの数も増えているのですね。その国際的な議論の中身についても詳しく教えてください。

先程ご紹介したWHOのICDという国際診断基準のほかに、アメリカ精神医学会が発行している「DSM」という国際診断基準があり、精神疾患に関しては、ICDDSMが世界の二大診断基準という位置付けなのですが、DSMの方の最新版である「DSM-5」には、ゲーム症/障害という診断名はありません。

厳密に言えば、オンラインゲームに限定された「Internet Gaming Disorder」という概念はDSM-5においても取り上げられてはいますが、正式な診断名とはされておらず、正式な診断名とするには今後さらなる研究が必要として区別されており、取り扱いには慎重な姿勢を示しています。つまり、精神疾患に関する世界の二大診断基準において、ゲーム症/障害をオフィシャルな診断名とするか否かについては、現状では見解が二分されています。

―――国際的な診断基準の片方にはゲーム症/障害があるのに、もう片方にはゲーム症/障害が存在しないということは、全く知りませんでした。しかも、「ICD」の方はオンラインもオフラインも両方含めて正式な病名にしていて、「DSM」の方はオンライン限定にもかかわらず正式な病名にしていないことで、より温度差を感じます。ゲーム症/障害について、一般の方の反対意見を見かけることはよくありましたが、世界の専門家の間でも意見が真っ二つな状態だとは初耳です。

この事実は、日本国内ではあまり報じられていないようです。特に、マスメディアでは、ゲーム症/障害に対する異論を取り上げている報道自体、ほとんど見受けられません。一方、インターネットメディアの中には、異論を含めた両論併記を行っているニュース記事が散見されます。

なお、WHOのICD-11は先述したように2018年の発表で、アメリカ精神医学会のDSM-5は2013年に既に発表されていたため、二大診断基準の最新版には5年のタイムラグがあり、この差がゲーム症/障害に対する賛否の理由ではないかと考えることもできますが、アメリカ精神医学会は、WHOがICD-11を発表した2018年にもゲームに嗜癖性があるか否かについては未だに議論の最中であると改めて表明しており、基本的に一貫しています。

付け加えてご紹介すると、アメリカ心理学会の担当部会も、ICD-11でゲーム症/障害が新設されたことに対して、科学よりも「モラルパニック」の産物という表現で反対声明をリリースしているほか、オックスフォード大学やジョンズ・ホプキンズ大学などの研究者らは、欧米を中心とした各国から総勢20名以上の連名で論文を発表して、エビデンスの乏しさモラルパニックの恐れなどを指摘し、ICD-11におけるゲーム症/障害の新設は「時期尚早」であり「削除されるべき」との明確な反論を提唱しています。

モラルパニック

―――「オックスフォード大学」は世界大学ランキングのトップで、「ジョンズ・ホプキンズ大学」と言えば、公衆衛生の分野でアメリカのトップの大学なので、新型コロナウィルス感染症関係のニュースでも頻繁に見かけますが、それらの大学の先生方からも反論が相次いでいるのですね。その先生方がおっしゃっている「モラルパニック」とは、どのようなものなのでしょうか?

モラルパニックとは、簡単に言えば「感情的に社会的脅威と見なされた人・物・様式など対して、それらの排除行動へと駆り立てる集団心理」のことです。学術的・科学的な根拠や妥当性を欠いており、流行の若者文化、近代的なメディア機器やデジタル技術、特定の所属を有する人々、ある種のマイノリティの人々などが、往々にしてモラルパニックの標的とされます。

世界史上最も広く知られているモラルパニックは、「魔女狩り」ではないでしょうか。そのほかにも、現代ではまさしく「健全かつ健康的」の代名詞と言えるリアルスポーツでさえ、時代や国によっては、精神論によりバッシングの的とされた記録があります。また、現在の新型コロナウィルス感染症の蔓延下において見られる、医療従事者やそのご家族のみなさんに対する不当な誹謗中傷や差別行為も、モラルパニックの一種と捉えられます。日本でも、ゲームやアニメなどのサブカルチャーがこのモラルパニックに巻き込まれることが多く、例えば何らかの事件が起きた際に、犯人像と特定のサブカルチャーの印象とが安直に結びつけられ、過熱的に報じられてきた歴史があります。

いずれにしても、世界的な権威であるWHOの方針とは言え、ICD-11におけるゲーム症/障害の新設に対して、欧米など各国の専門家や専門学会から異論・反論やモラルパニックを指摘する声が上がっているのは事実です。したがって、当事者やご家族に安心して支援・治療を受けて頂くためには、今後の国際的な議論の行く末はどうあれ、現時点でこれらの指摘を丁寧に整理していく作業が不可欠です。異論・反論が見過ごされることによって生じる誤解や偏見、そして、そこから波及するモラルパニックのしわ寄せが至るのは、ほかならぬ当事者やご家族のみなさんだからです。ついては、日本国内においても、賛否両論の立場からオープンかつ活発な意見交換や問題提起が行われることが、健全であり建設的であると考えているところです。

eスポーツやゲームの健全かつ健康的な活用を目指したい【2019年撮影】

―――たしかに、事件などのニュースのたびに、報道内容に疑問を感じることがよくあります。ゲーム症/障害についても、賛否両論を報道しなければ、「ゲーム=悪」という一方的なモラルパニックが起きかねないと思います。日本でも、ゲーム症/障害の賛否についてしっかりと議論して頂き、その議論の中身についても情報公開をして頂きたいなと思います。さて、私たちがモラルパニックにならないようにするためには、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか?

究極的にはとにもかくにも「冷静に」の一語に尽きると思いますが、手がかりとなるのは、モラルパニックの正体が、個々人の「不安」が連鎖し、さらにそれが煽られ肥大化し、その結果もたらされる社会不安であるという構図です。そして、不安とは「対象が不明確な恐れ」と定義されています。したがって、我々ひとりひとりが対象を「正確に知る」ことによって明確化させ、不安の源を解き明かしていくことが、恐らく最も実効的な予防法であると考えます。

例えば、ゲーム症/障害の背景として「近年のオンラインゲームはアップデートされ続けるため、昔のゲームとは違って終わりがないから危険だ」と論じられることがあります。しかし、そもそもゲーム会社は、慈善事業でアップデートを続けているわけではありません。企業としてそこに収益があるからこそ、様々なコストを投じてアップデートなどの運営を行っています。そのため、一定の収益が見込めなくなれば、たとえ利用者が継続を希望していたとしても、採算上の理由で運営を打ち切らざるを得ません。特に、インターネット接続を前提としたオンラインゲームは、ゲーム会社側などにサーバーの維持費が発生する事情があり、運営が終了されれば利用者側ではゲームの起動すらできなくなる仕様もあります。

すなわち、「オンラインゲームは多かれ少なかれ稼働そのものが水物である」という事実を知ることによって、「オンラインゲームは終わりがないから危険」説によるモラルパニックを防ぐことができます。このほかにも、ゲームの危険性として論じられるロジックの中には、不正確なものや非科学的なものが歴史的に見受けられてきましたので、今回の機会にゲームについて正確に知ることは有用だと言えます。

一方で、わざわざ知るのが面倒だと思われる方は、ゲーム症/障害にまつわる賛否両論に接した際、当たり前のことのようですが、「両方の意見を聴く」ということが現実的な対策となり得ます。裁判において鑑定人を務めた経験から申し上げますと、何事も「一方聞いて沙汰するな」の姿勢が大切だと考えておりますので、多様な意見に幅広く耳を傾けられる寛容さを、個人としても社会全体としても持ちたいものです。


【神崎保孝】ニワカゲームスeモータースポーツチーム メンタルアドバイザー 

臨床心理士指定大学院修士課程~博士課程を経て臨床心理士登録。 教育庁教職員メンタルヘルスカウンセラー・研修講師、教育委員会SCスーパーバイザー、精神保健福祉センター自殺対策・自死遺族ケアカウンセラー、急性期・回復期総合病院アドバイザー・カウンセリング専門外来、商工会議所アドバイザー、民事訴訟事件裁判鑑定人、政策研究ネットワーク委員などを歴任のほか、私立学校教職員・保護者の年次全国会議における記念講演者、近県の医療機関が参集する専門研修の特別講師などを務め、WHOのプロジェクト、熊本地震の災害派遣、殺人事件・人身死亡事故・自死・いじめケースの心のケアなどにも参加協力。

国内のeスポーツ業界初、心理学の臨床家として顧問契約を締結したeモータースポーツチーム「ニワカゲームス」は、茨城国体で銀メダルを獲得するなど日本トップレベル。 福岡eスポーツリサーチコンソーシアム運営正会員。

【連絡先:inquiry_kanzaki@yahoo.co.jp】