10月16日(土)第1回FeRCサイエンスセミナー開催/臨床心理士神崎保孝先生

2021.9.23

FeRCではeスポーツの健全な普及のため、関連する専門家のお話をお届けする【FeRCサイエンスセミナー】を開催いたします。

 

主催/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(通称フェルク FeRC)

参加チケット購入はこちら https://ferc-seminar01.peatix.com

2021年10月16日(土)20:00~21:00

『不登校とゲームの臨床心理~「症例K」の心理分析~』

【講師】

臨床心理士/神崎 保孝
 ・福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)リサーチ委員
 ・東京大学大学院医学系研究科

【講師略歴】

東京オリンピック日本代表選手メンタルアドバイザー、教育庁教職員研修講師、教育委員会スーパーバイザー、総合病院アドバイザー・カウンセリング専門外来、商工会議所アドバイザー、民事訴訟事件裁判鑑定人、北九州市政策研究ネットワーク顧問などを歴任。教育講演の記念講演者を務めた全国会議では教職員・保護者500名が参集した。
ゲームにも造詣が深く、日本初のeスポーツチームメンタルアドバイザーとして顧問契約しているほか、「ゲーム症/障害(通称:ゲーム依存)」が新設されたWHO国際診断基準の改訂プロジェクトに参加協力。学生時代には大手ゲーム会社プロデューサーからの招聘で企画開発に参画した経歴を持つ。

【参考】

神崎保孝氏FeRCインタビュー記事(3部)「eスポーツとゲームの健全かつ健康的な活用」  

【主な対象】

どなたでも申し込み可能です。

 ▽不登校ケースへの対応・支援に当たられる教育関係者の方
 ▽「ゲーム症/障害(通称:ゲーム依存)」がご心配な保護者・ご家族
 ▽ゲーム/eスポーツに関わる方
 ▽子どもの医療に関わる方

に特に視聴をお勧めします。

小学生~高校生くらいまでのお子様をもつ保護者の方々にとって、ゲームとお子様との付き合い方はとても関心の高いテーマ。
「ゲーム障害」といったワードも気になるところです。
日本初、心理学とeスポーツの二刀流」として知られる神崎保孝氏は、
ゲームに造詣が深くeスポーツチームのメンタルアドバイザーも務め、そのお話は多くの教育関係者も関心を寄せています。

【参加費】
一般 1,000円(1か月間アーカイブ視聴付き)
    ※アーカイブ視聴可能期間 10月16日 21:00~11月15日23:00まで

【申込受付期間】
2021年10月15日(木)23時00分まで

参加チケット購入はこちら https://ferc-seminar01.peatix.com

 

【視聴方法に関して】
1)ご購入後された方はPeatixに「イベントに参加」ボタンが表示されます。「イベントに参加」ボタンは当日開始10分前から有効になります。
2)以下の注意事項のご確認をお願いいたします。
・セミナー中の録音、録画は禁止とさせていただきます。
・チケット購入者以外への視聴用URL共有は禁止とさせていただきます。
・ネット環境によってはうまく視聴ができない可能性があります。 事前にネット環境をお確かめのうえご参加ください。

【キャンセルポリシー】
チケット販売期間を過ぎてからのキャンセルは承っておりません。
詳しくはヘルプページをご確認ください(主催者の都合による中止の場合を除く)。

【問い合わせ】
何かご質問等ございましたら、Peatix HP内の[主催者へ連絡]からご連絡をお願いいたします。
※時間帯によっては返信にお時間を頂戴する場合もございます。予めご了承ください。

参加チケット購入はこちら https://ferc-seminar01.peatix.com

〇FeRC ホームページ https://www.ferc.jp/
〇FeRC Facebook https://www.facebook.com/FeRCesports
〇FeRC Instagram https://www.instagram.com/fuk_erc/?hl=ja
〇FeRC Twitter  https://twitter.com/Fukuoka_eRC?s=20

主催/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム

運営/一般社団法人みるみるプロジェクト

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【研究者インタビュー】西薗教授に聞く③

2020.8.10

【研究者の眼】西薗秀嗣教授インタビュー③

参画研究者の知見をご紹介する企画「研究者の眼」

西薗秀嗣教授(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科)インタビュー最終回!生理学・バイオメカニクス・トレーニング科学・臨床心理学…幅広い研究領域で活躍されて来た西薗教授に、活き活きとeスポーツ研究へのお考えをお話し頂きました。

eスポーツを愛する人々に,ぜひ知って欲しい知的好奇心満載のインタビュー3部作ー③、最終回です。文責:FeRC事務局

前回記事①はこちら 記事②はこちら


(前回の続きから…)

脳の働き、判断メカニズムを調べたい

西薗:eスポーツ研究では、脳の働き、判断メカニズムの研究に取り組みたいですね。我々は、eスポーツで心身ともに元気になるように、“eスポーツを科学する”事が目標です。eスポーツの優秀な選手の能力、どこが凄いのかまず調べたい。その後のトレーニングに繋がるわけですから。

eスポーツ選手の能力を生理学的にいうと、冒頭でも述べた「入力系」(視覚聴覚などから情報を得る)⇒「情報処理系」(脳など中枢神経)⇒「出力系」(正確な操作等)という仕組みになるわけですが、特にこの“脳”は本当に面白い。同時に、脳も含めて、人間のことは全然わかっていなかった。

脳というのはね、「準備」しているんです。人間の運動はずっと前から予測し準備されている。いまだに発生していない事が脳内にはあるんですよ(笑)

事務局:発生していない事が脳に??(混乱)

ここにブレインブックという養老孟司先生監訳の本がありますので引用します。

例えばテニスの試合、相手コートからサーブを打ち込まれます。レシーブ側選手は打ち込まれたボールが実際に見えるのはネットのこちら側に着地した時で、これでは打ち返すのに間に合わない。入力情報が意識にのぼるまで0.5秒さらに身体を動かすのに0.5秒、つまり1秒かかってしまうと、飛んできたボールなんか打ち返せないわけです。ところがレシーブ側選手の脳は、相手がネットの向こう側で動作している時に着地点を予測し、レシーブ動作を脳内で準備する「運動計画」無意識に立案します。これによってボールが見えてから意識的な操作(レシーブ動作)をしても間に合う。これが脳の準備、まだ発生していない事が脳内にある、というわけです。

写真)南江堂「ブレインブック-みえる脳」養老孟司監訳

このあたりのことをeスポーツで研究したいんですよね。脳の集中、予測、決定、脳から命令が下りてきて動く。eスポーツのジャンル別にやってみたい。これで、いかに反応動作を早くするか。いろんな事が見えてくると思いますね。

脳の錯覚・パラドックス

西薗:人間のことはね、全然わかっていなかった。最近でいえば、とある研究があって、サッカーのオフサイドのときの線審。あれは線審の錯覚が関与する事も多い、という事がわかったんです。選手が走りこんで行って後方からボールが蹴り出される。ボールを見ている線審は「選手がそのまま走り続けている」と錯覚しているケースがある、というわけです。見ていない。よく選手が「自分はオフサイドラインを出ていない!」と抗議する場面があるでしょう?あれ、頻度はともかく結果的に選手が正しい事もあったわけですね(笑)それで、現在はビデオ判定などで慎重にジャッジされるようになっているわけです。

西薗教授のお話は人間の可能性の豊かさを感じる

ちょっとまとめますとね。eスポーツでやりたい研究としては、第一に脳の判断メカニズム。第二に判断メカニズム(思い込み、錯覚)を利用した戦術戦略。第三にこうした成果を教育トレーニングに活かそう、という事を考えています。福岡デザイン&テクノロジー専門学校の伊藤先生(編集注:FeRC会員伊藤僚洋氏)などとぜひ研究したいですね!

ちなみに伊藤先生は以前お会いした際に「一流のeスポーツ選手で姿勢の悪い人は一人もいない」とおっしゃっていました。そういうところもしっかり見ていきたいと思います。

事務局:脳のお話し、たいへんに刺激的で面白いです!

西薗:脳は、全てを使わないといけません。あらゆる脳の箇所。視覚・聴覚。前頭前野・創造的なところ。一概に言えないかもしれないけど、芸術家は長生きする。脳のすべてを使っているからだと思いますね。私自身、二科会員の有川基雄先生(注:2018年逝去。二科会会員)に絵を習って月2回、10年ほど通って描いてました。いろいろな事を感じ、イメージしながら書くので「脳をすごく使っている」と実感しましたね。

写真)研究室に飾られている有川基雄先生の絵画「競う」

文化は”遊び”から生まれる

事務局:「勉強だけ」「〇〇だけ」は必ずしも良くはないのですね。

西薗:勉強して・読んで・理解して・試験を…脳のごく一部の、これだけでは人間、良くありませんね。だいたい人間は楽しい事はやりますからね。ロジェ・カイヨワという人の「遊びと人間」という本があるのですが、人間の文化は遊びから生まれる、と言っています。遊びの中から文化が生まれてきたのです。いろんな遊びがある、そのなかの“ゲーム”というのは競争なんですね。競争からゲームが生まれ、スポーツが生まれた。 ※編集注:カイヨワは著書で遊びを競争・運・模擬・眩暈のどれかの性質があると提示した

写真)ロジェ・カイヨワ著「遊びと人間」1961年

スポーツは全身運動で、eスポーツは部分運動(指だけとか限定的)という違いはあるのですが。ともかくね、人間そもそも遊びから、研究も社会生活もどんどん発展してきたと考えています。そう根本的に、楽しいという感覚。楽しい!好き!であることから発展して来たのだと。ゲーム・スポーツ、その中にeスポーツも入っていく。そう思っています。

事務局:西薗教授、お忙しいなか、ありがとうございました!

西薗教授インタビュー3部作、いかがでしたでしょうか。eスポーツ研究に取り組まれるなかに、人間の可能性の豊かさを感じる素晴らしいお話をうかがうことが出来ました。活き活きと語られる教授のお人柄にもあらためて感銘する時間でした。文責:FeRC事務局


【西薗秀嗣】にしぞのひでつぐ 九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科 教授

1950年(昭和25年)大阪生まれ,1964年東京オリンピックをみて現在の道へ。1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了,教育学博士。北海道大学教育学部講師,鹿屋体育大学助教授,カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)生理学部客員教授。鹿屋体育大学ではスポーツトレーニング教育研究センター教授,スポーツ生命科学系教授など歴任,2016年名誉教授。同大退官後,九州産業大学にて現職。九州大学体育連合理事長(2019年~)「体育・スポーツ教育研究」編集委員長 (2019年~)鹿児島県スクールカウンセラー(2004年~2015年)「超人たちのパラリンピック」企画/監修/出演(NHK BS1 2017.10.28放映)趣味は絵画(油絵,アクリル画)フォークソング,古代史,読書,サッカー、ウイニングイレブンなど多彩。

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【研究者インタビュー】西薗教授に聞く②

2020.8.9

【研究者の眼】西薗秀嗣教授インタビュー②

参画研究者の知見をご紹介する企画「研究者の眼」

フェルク研究者の中でも永年にわたる幅広い研究領域をもち、活き活きとしたお人柄がひときわ魅力的な西薗秀嗣教授(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科)インタビュー②です。生理学・バイオメカニクス・トレーニング科学・臨床心理学…幅広い研究領域で活躍されて来た西薗教授が、なぜeスポーツ研究に取り組まれるに至ったのでしょうか?

eスポーツに関わる人々に,ぜひ知って欲しい知的好奇心満載のインタビュー、3部作-②ぜひご一読を! 文責:FeRC事務局


eスポーツ研究成果で“教育”を

(前回の①はこちら

西薗:私がやりたいeスポーツ研究は、“教育”です。

事務局:えぇっ⁉教育⁉(混乱)……西薗教授、そういえば名刺に「教育学博士」と…

西薗:私が大学で頂いた博士号は、教育学です。人間は子どもから年を経て~高齢者に至るわけですが、そのときどきにどのような刺激・教育を与えて変わっていくのか。eスポーツ研究を通じて、これがやりたいのです。研究していろいろなメカニズムを調べて知見をまとめて、それで終わり!ではなくてね。研究成果を社会に還元とよくいいますが、教育という形でフィードバックしたい。年齢性別いろいろな人々、それぞれに合ったようにトレーニングしていくこと。教育学的な観点でやりたいですね。

そのあたり、研究に基づいたちゃんとした教育がなされていないから、日本では特にeスポーツが叩かれたりする。まだ我々が充分に、保護者だとか学校の先生などに理解できるようなことをしゃべっていない。だからダメで、メンタルな方面も含めて研究して、教育に活かしたいと考えています。

写真)西薗教授著書。発育期から高齢までそれぞれに応じたエクササイズの科学。

どこかでナンバーワンに

西薗:サッカー選手とeスポーツ選手とを並べたら、やはり体格だとか個性だとかも大きく違いますよね。それぞれに合ったトレーニングや刺激というものがあるはずです。

人間というのは誰しもが才能を持っていて、どこかでナンバーワンになる才能を持っているんです。それをどこかで引き出すのが我々の仕事だと思っています。

子どもたちに、勉強もeスポーツもリアルスポーツもうまく共存してできるような、そういう取り組みにすると絶対いい方向に進みますよ。たとえば、3時間ピアノを練習しても「まだやってるのか!」とは誰も叱らないですよね(笑)たぶん褒められる。でもゲーム3時間していたら、親は「いい加減にしろ!」と叱りますよね。ゲームを長い時間やって良いとか悪いとかの前に、上手な共存、バランスがあると思っています。

写真:人誰しもが才能を持っている、という言葉には言い知れぬ力が

事務局:研究成果を教育に活かしてこそ、というお言葉たいへん感銘しました。西薗教授はこれからのeスポーツ研究をどのようにお考えでしょうか?

西薗:eスポーツ研究は世界各国で行われていますが、まだ個別の研究に終始している印象です。人間の細かな能力や年齢性別・生活環境・反応時間・メンタル…eスポーツをめぐる研究はあまりにも対象領域が広い。ですからまず、システム的にいろんな人が研究できることが大切ですね。それとプレーヤーの側の事になりますが、誰でもどこでもプレイ出来る環境を目指す方向ができることも重要と思います。ゲームタイトルが、例えばこれはプレイステーション用、これはPCのみ、などプレイできる環境が限られていますよね。もう少し、このあたり業界が何とかしてできないかな。かつて電話回線はNTT(旧電電公社)だけのものでしたが、現在は電話会社は多数ありますよね。こう、世の中のためにそういう垣根を無くしていく方向性があると良いですね。

事務局:確かに、サッカーが世界中で愛される理由の一つに、ボール一つあればどこでも出来る、という究極的なものがありますしね。ところでサッカー、教授もたいへん愛好されているそうですね。

西薗:いまでも(リアルスポーツの)サッカーやっています。コロナ禍でマスクしながらしたりね。eスポーツのウィニングイレブンも楽しんでいます。コロナでサッカーが出来ない時に、eスポーツでサッカーセンスを養う、こうした事もとても大切だなと身をもって感じますね。

画像)教授も楽しんでいるウイニングイレブン(HPより)

脳の使い方

事務局:教育に活かすため、具体的に教授が構想されているeスポーツ研究はどのようなものでしょうか?

西薗:の働き判断メカニズムパラドックスというのはね、準備しているんです…続

事務局:eスポーツ研究のキーワード、脳!

脳のパラドックスとは?脳が準備している⁉

eスポーツを愛する方々にもぜひお読み頂きたい、何とも鮮烈なインタビューの続きは、次回!

次回の③記事はこちら


 

【西薗秀嗣】にしぞのひでつぐ 九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科 教授

1950年(昭和25年)大阪生まれ,1964年東京オリンピックをみて現在の道へ。1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了,教育学博士。北海道大学教育学部講師,鹿屋体育大学助教授,カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)生理学部客員教授。鹿屋体育大学ではスポーツトレーニング教育研究センター教授,スポーツ生命科学系教授など歴任,2016年名誉教授。同大退官後,九州産業大学にて現職。九州大学体育連合理事長(2019年~)「体育・スポーツ教育研究」編集委員長 (2019年~)鹿児島県スクールカウンセラー(2004年~2015年)「超人たちのパラリンピック」企画/監修/出演(NHK BS1 2017.10.28放映)趣味は絵画(油絵,アクリル画)フォークソング,古代史,読書,サッカー、ウイニングイレブンなど多彩。

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