【研究者の眼】杉本晃一 鍼灸師②

2024.1.29

【研究者の眼】杉本 晃一 鍼灸師②

eスポーツ共同研究団体FeRCに参画する研究者の知見をご紹介する企画「研究者の眼」

FeRCイベントで高人気の鍼灸体験コーナーでも知られる鍼灸師杉本晃一先生のインタビュー②です。

『eスポーツ×鍼灸』にチャレンジする危機感とは?「フリーランス鍼灸師が注目するeスポーツ×鍼灸」の背景とは?異業種交流にも積極的な杉本先生におうかがいしました。※①はこちら

文責:FeRC事務局

鍼灸の現状

事務局:杉本先生は鍼灸業界への強い危機感もお持ちですね。

杉本:日本では昔からある鍼灸ですが、需要が低迷しているのが現状です。

業界の調査で「1年以内に鍼灸を受けたことがありますか?」という質問に「はい」と答えた人は約5%しかいないというのが結果として出ています。

しかし需要は低迷しているのに毎年約3000人ずつ鍼灸師は増えていて、供給過多ともいえるかもしれません。

需要はあるはずなんですよね。前回お話したようにVDT症候群で慢性的に体に症状を抱えている人や、病院行くほどでもないけど体調はなんとなく良くないみたいな症状ともいえないようなものを抱えている人はたくさんいます。

じゃあそういう人達がどうしてるかというと、60%ぐらいの人は何もせず我慢しているという調査結果もあるぐらいなので、その我慢している人達に鍼灸を受けてもらえるようになれば、鍼灸の需要も増えてみんなが健康になれて幸せな世界になるんですよね。

そういった潜在的な需要をうまいこと掘り起こせてないのが鍼灸業界の課題ではあります。

鍼灸って効くの?

事務局:おっしゃるとおり鍼灸に馴染みのない方も多いと思います。そうした方のために、鍼灸が具体的にどんな効果があるのか教えていただけますか?

 

鍼灸治療と聞くと「鍼って痛そう」「お灸って熱そう」というネガティブな怖いイメージを持たれている方もたくさんおられますし、「そもそも効果あんの?」「気のせい・まやかしじゃね?」みたいに懐疑的に思われている方もたくさんいます。

 実際どうかというと、鍼灸に関する研究もだいぶ進んできており、鍼灸の刺激が体に入ることで色んな反応が体に起きていることが分かってきています。

どんな変化があるかというと、

  • 筋緊張緩和
  • ✅血流改善
  • ✅痛みを感じにくくする
  • ✅自律神経に働きかけてリラックスしたり内臓の動きを変化させる

などが期待できます。

 1つずつ説明すると長くなるので「軸索反射」「下行性痛覚抑制」「体性-自律神経反射」「TRPチャネル」なんかのワードと一緒に「鍼」「灸」でググってみてください(笑)

 病院などで行われるいわゆる標準治療と鍼灸治療を併用することで、手術後の経過が安定したり、薬の量を減らすことができたりと、その効果は少しずつ医療現場でも認められてきています。

 あとこれはあくまで私の感覚ですが、鍼灸というのは全体のバランスを整えるようなイメージなので、1つの症状で施術を受けたら他のところも良くなったみたいなことはよくあります。例えば、流行りの美容鍼灸の施術を受けてお肌の調子が良くなったのと合わせて便通も良くなった。とか、肩こりの施術を受けてからよく寝られるようになった。とか。

 鍼や灸をしたその局所だけじゃなく全身に効果が出るので、なんかもうあちこち調子が悪いみたいな人ほど鍼灸の効果を実感しやすいかもしれません。

eスポーツ×鍼灸のこれから

前回にも話しましたが、eスポーツプレイヤーが持つ症状と鍼灸治療はとても相性がいいんですよ。eスポーツをキッカケに鍼灸を知るというのもなんだか不思議な感じはしますが、出展させていただいたイベントなどで来場者の方から言われるのは、

「ゲームしてると肩凝るし、腰も痛いし、眼も疲れる!たしかにそーいう症状に鍼灸は良さそう!」

といった言葉です。そういった、言われてみたらそうだよねと気づいた人達に鍼灸治療を受けるキッカケ作りをするのが今の自分の役割かなと思っています。あとはどんどん鍼灸師がそれに続いて乗っかってきてくれるといいんですけどね。

 そして私が鍼灸学校の教員をやってたからというのもあるかもしれませんが、鍼灸を受ける人が増えて欲しいのはもちろんですけど、そこから鍼灸師を目指す人も増えて欲しいという願望も込めて、eスポーツプレイヤーのセカンドキャリアとして鍼灸師というのもありかなと。

野球やサッカーなどのリアルスポーツの経験者がプレイヤーからサポートする側のトレーナーになることはよくあるパターンです。競技特有の体の使い方や悩みなどは経験者にしかわからない部分もあるので、プレイヤーの経験を活かして鍼灸師という立場でeスポーツ業界に関わるという選択肢もあるよ。というのも知ってもらいたいです。(③に続きます)


【杉本晃一】すぎもとこういち 鍼灸師

2008年明治鍼灸大学(現:明治国際医療大学)卒業。大阪で鍼灸師・柔道整復師として2年間働くも臨床に向いてないと感じ、教員を目指し明治国際医療大学大学院へ。教員資格取得後は2012年から九州医療専門学校鍼灸師科で教員として11年間勤務。現在はフリーランスとして活動。マンガ4000冊以上を所有、「マンガの中の鍼灸」のテーマで学会発表(日本マンガ学会2015~2016)。SNSでは「#喫煙ルームでお灸」でお灸の普及活動をしている。趣味はデカ盛りと阪神タイガース。Twitterアカウント https://twitter.com/mogisu1119

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【予告編】公開 第2回FeRCサイエンスセミナー‐鍼灸 × eスポーツ⁉‐~

2021.12.2

eスポーツの健全な普及のため、関連する専門家のお話をお届けする【FeRCサイエンスセミナー】

第2回 鍼灸×eスポーツ!?~市場と事情とセカンドキャリア~の予告編映像を公開しました

本編視聴チケット好評発売中

参加チケット購入はこちら https://fercss2.peatix.com

視聴可能期間 2021年11月20日(土) 12:00 – 12月31日 (金) 23:00

 

鍼灸 × eスポーツ⁉~市場と事情とセカンドキャリア

 ・eスポーツ研究団体FeRCで出会った異業種コラボ講演
 ・そもそも鍼灸とは?鍼灸師からみたeスポーツへの貢献とは
 ・eスポーツプレーヤーの鍼灸体験解説
 ・eスポーツ事業家からみた市場の現状と課題とは
 ・鍼灸はeスポーツ市場を捉えられるか
 ・eスポーツ/鍼灸/セカンドキャリアを考える

【講師】
①鍼灸師 杉本晃一 氏

・福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)リサーチ委員
 ・九州医療専門学校鍼灸師科教員
(略歴)
  1982年大阪市出身。明治鍼灸大学医療技術短期大学部卒業、柔道整復師免許取得。
  明治鍼灸大学鍼灸学部卒業、はり師・きゅう師免許取得。
  2012年明治国際医療大学大学院修士課程修了
  2012年~九州医療専門学校入職
  鍼灸師科教員として指導のかたわら
  マンガの中の鍼灸を研究、日本マンガ学会/世界鍼灸学会連合会にて発表するなど
  異業種異領域に鍼灸を広める活動も精力的に行っている。  

②森田康裕 氏

 ・福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)会員
 ・福岡格闘ゲームオフ対戦会 代表
 ・TECH.C福岡 非常勤講師
(略歴)
  esports事業者、元デザイナー。
  2018年プロチーム運営業務を経て2019年より現職。
  eスポーツの名称が広まるより早い時期からイベントの企画運営、テクニカルオペレーター、
  コンサルティング、学生への講義などを手掛ける。
  eスポーツを日本でも産業として確立することを目指し、
  後進育成・技術開発・地域コミュニケーションにまつわるインフラ環境構築に取り組む。

【主な対象】
どなたでも申し込み可能です。

 ▽eスポーツプレーヤーを目指す方
 ▽チームマネジメントに関わる方
 ▽鍼灸師/鍼灸院経営者の方
 ▽eスポーツ市場に興味関心のある企業/個人の方

に特に視聴をお勧めします。

eスポーツの豊かな可能性と市場性は 多くの業界/企業/専門家が期待し注目しています。
しかし互いの領域への先入観やイメージの食い違いから、積極的な交流はまだまだこれからという状況にあります。

eスポーツ研究団体FeRCでは、参画する多彩な専門家同士の交流から新しい知見や展望が生まれつつあります。
今回は特に異業種との交流に積極的な鍼灸師杉本晃一先生と、
eスポーツ事業化に早期から取り組んでいる森田氏による
異色のコラボ講演を企画しました。

鍼灸 eスポーツ それぞれの領域の実態や現状を語り合いながら、その親和性や市場性を探ります。
これからのeスポーツ市場に興味関心のある企業/個人の方、鍼灸師/鍼灸院経営者の方など幅広い方々に
視聴いただきたい講演です。

参加チケット購入はこちら https://fercss2.peatix.com

【費用】

▽一般 1,000円
    ※視聴可能期間 11月20日 12:00~12月31日23:00まで
▽FeRC会員 無料
    ※会員専用ページにて公開

【申込受付期間】
2021年12月30日 23時00分まで

【視聴方法に関して】
1)ご購入後、公開期間になりましたら視聴する事が出来ます。
  上記視聴可能期間であれば何度でも視聴可能です。

2)以下の注意事項のご確認をお願いいたします。
・セミナー中の録音、録画は禁止とさせていただきます。
・チケット購入者以外への視聴用URLの共有は禁止とさせていただきます。
・ネット環境によってはうまく視聴ができない可能性があります。 事前にネット環境をお確かめのうえご参加ください。

【キャンセルポリシー】
チケット販売期間を過ぎてからのキャンセルは承っておりません。
詳しくはヘルプページをご確認ください。

【問い合わせ】
何かご質問等ございましたら、Peatix HP内の[主催者へ連絡]からご連絡をお願いいたします。
※時間帯によっては返信にお時間を頂戴する場合もございます。予めご了承ください。

主催/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(通称フェルク FeRC)
運営/一般社団法人みるみるプロジェクト

〇FeRC ホームページ https://www.ferc.jp/
〇FeRC Facebook https://www.facebook.com/FeRCesports
〇FeRC Instagram https://www.instagram.com/fuk_erc/?hl=ja
〇FeRC Twitter  https://twitter.com/Fukuoka_eRC?s=20

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第2回FeRCサイエンスセミナー予告

2021.11.16

FeRCではeスポーツの健全な普及のため、

関連する専門家のお話をお届けする【FeRCサイエンスセミナー】を開催いたします。

第1回は臨床心理士神崎保孝先生による講演でした。

https://fercss11.peatix.com/ ※チケット販売~11/30まで

おかげ様で初回にもかかわらず多くの方のお申し込みがあり大変好評でした。

さて第2回は…

鍼灸 × eスポーツ⁉

FeRCは多彩な領域の専門家が参画しています。

あらたな出会いから生まれたコラボ講演、近日公開予定!

  • eスポーツ研究団体FeRCで出会った異業種お二人によるコラボ講演
  • そもそも鍼灸とは?鍼灸師からみたeスポーツへの貢献とは
  • eスポーツプレーヤーの鍼灸体験解説
  • eスポーツ事業家からみた市場の現状と課題とは
  • 鍼灸はeスポーツ市場を捉えられるか
  • eスポーツ/鍼灸/セカンドキャリアを考える

近日詳細お知らせします!

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【ご協力のお願い】アンケートプロジェクト2021-001

2021.6.9

アンケート回答ご協力のお願い 

FeRCアンケートプロジェクトリーダー 杉本晃一(鍼灸師/九州医療専門学校鍼灸師科)

FeRC参画研究者の杉本晃一です。ゲーム・eスポーツを愛する方々に、アンケート回答のご協力を呼びかけております。

趣旨ご理解のうえ、お一人でも多くの方々のご協力をお願い申し上げます。

【目的】

今回のアンケートは、これから拡大していくであろうeスポーツ業界の中にあって、確実に課題となるであろうプレイヤーの健康状態に関わる部分に焦点を当てた  アンケートとなっております。
「ゲーム障害」などの言葉が出てきているように、小中学生など若い世代からの参入が多い業界であることを考えると、長時間プレイするプレイヤーだけでなく  一般的にゲームが身体に与える影響は気になるところだと思います。
そういった不安に対しての現状やその対処法をいろんな角度で掘り下げていくキッカケになる調査になると考えています。

【メッセージ】

鍼灸師としてeスポーツの世界を見た時に、すごい緊張感の中で試合に臨む姿や、昼夜問わず練習に明け暮れる姿を見て、これはリアルスポーツに匹敵するぐらい       身体的にも精神的にも負担のかかる過酷な世界だなぁと思いました。
そこに鍼灸師が関わることで選手達のパフォーマンスが向上したり、健康的にeスポーツを楽しむことができるのでは?と思ってます。

まずは皆さん自身の生活を振り返って、eスポーツをしている時の身体の声を聴いてアンケートに答えてみて下さい。 

皆様、なにとぞよろしくお願いします。

【アンケート対象】

◆日常的に週3日以上、1日の中で合計2時間以上ゲーム・eスポーツをしている方

◆上記に当てはまる方であれば、年齢・プロ・アマ チーム所属有無・ゲームタイトル・競技歴・大会出場経験などは問いません

【回答期間】

2021年627日(日)24:00まで

 

アンケートは全13問です(所要時間3分程度)

下記URLアンケートフォームからご回答くださいませ。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfAdIG0zeslOw5yEbR9oiYmeomX5z05-fIMpfmFOQ7OXwv_1A/viewform

eスポーツの発展のためお一人でも多くの方のご回答をいただきたく存じます。みなさま、このアンケートの拡散にもご協力いただけましたら幸いです。

 

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eスポーツと鍼灸

2020.12.3
杉本晃一先生(九州医療専門学校鍼灸師科)
あらたにFeRCに研究者参画されました杉本晃一先生(九州医療専門学校 鍼灸師科)が本日、大原学園福岡校eスポーツ部へお越しいただきました。
 
鍼灸治療体験のうえ、eスポーツプレーヤーに対する鍼灸治療と、疲労回復・コンディション等について解説頂きました。
eスポーツプレーヤーのコンディションや健康管理にも関心が高まるなか、鍼灸や指圧によるコンディションケアにも注目が集まっています。
杉本先生は、拡大するeスポーツ情勢にあって“eスポーツプレイヤーの持つ身体的愁訴はどのようなものがあるのか、それがパフォーマンスにどの程度影響を及ぼし、それらが鍼灸治療を行なうことでどう変化するのか”研究に取り組まれています。
鍼灸を初めて見た!という学生も多く、とても有意義な体験と知識をいただく時間となりました。このような繋がりはまさにeスポーツだからこそ!という想いを強くしました。
 
杉本先生、本日はありがとうございました!

FeRCはスポーツ心理・バイオメカニクス・脳科学など各分野研究者、視能訓練士、鍼灸師、IT企業、eスポーツ学科を擁する専門学校、スポーツスクール事業展開企業、医療機器企業など産学さまざまな分野の会員が集まる共同研究事業体です。
入会のお問い合わせ、ご相談などは下記入会案内ページからお問い合わせください。
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