2020年度FeRC研究紹介

2021.4.11

FeRCは2021年2月で設立1周年を迎えました。この1年間でのeスポーツ研究についてご紹介します。

この1年間の研究の紹介

①eスポーツプレイヤーのパフォーマンスと関連する認知要因の実験的検討(2020年)

FeRCの第一弾研究となったこのリサーチは、eスポーツにおいて「どう判断しているか」「どこを見ているか」といった認知要因について研究したもの。特に複数のものを同時に見る能力=複数対象追跡のスキルが上がると、グランツーリスモのタイムが短縮されたという結果が得られました。このようなトレーニングを行う事でタイムをもっと短く出来るのではないかという可能性が示された研究です。なお、この研究での複数対象追跡トレーニングはカナダモントリオール大学で開発され世界中で研究対象となっているニューロトラッカーが用いられました。

複数対象追跡(MOT)スキルトレーニングとして活用されるニューロトラッカー
研究では博多を拠点とするニワカゲームス選手が協力

ニューロトラッカーは特にeスポーツのみならず、一般の運転スキルの向上、リアルスポーツアスリートによる競技スキル向上、学習時における集中力持続時間向上などが期待され、幅広い分野で活用されています。

②競技レベルの違いによるeスポーツプレー中の視覚探索方略及び感情状態の比較(2020年)

感情状態はeスポーツプレー中の脳波を測定し、熟練者と非熟練者を比較しました。熟練者はプレー中もリラックスした状態をキープし、途中不安になったりせず安定した脳波の状態でプレーが出来ている事が明らかになりました。非熟練者は場面によって興奮したりするなど感情の起伏がみられました。eスポーツ熟練の為には、感情の起伏を抑えコントロールするトレーニングが重要ではないかと示唆されました。

研究にあたる古門良亮先生(西日本工業大学)
FPS熟練プレーヤーは画面のどこを見ているか

視覚探索方略は、プレー中いつどこをどれくらい見ているか、という測定を行いました。熟練者と非熟練者で大きな違いがあり、熟練者は味方の動きをよく見る事が多いという事が数値として明確に確認できました。チームプレー、チームワークが重要なゲームにおいてこれはたいへん面白い結果でした。

③ゲーミンググラスがeスポーツ使用時の自律神経に及ぶ影響(2021年) 詳細はこちらを参照

eスポーツによって身体的精神的疲労が考えられますが、それらに対してゲーミンググラスがどのような影響を及ぼすのか調査しました。結果、ゲーミンググラス(ニデック社G-SQUARE)を使用すると疲れにくくなることが自律神経のデータから明らかになりました。

G-SQUAREとニデック社インタビュー記事はこちら  

TEHC.C福岡でのプレーヤー自律神経測定
G-SQUAREウェブサイトにて公開

④eスポーツ実施を通した地域高齢者の認知症予防(2021年) 一般公開資料はこちらを参照

福岡県豊前市との協定に基づき行いました。eスポーツ(グランツーリスモ・ぷよぷよ)をおこなった群とおこなわなかった群にわけ様々な指標で評価しました。まず一つ、高齢者の生きがい・幸福感が変わるのか調べたところ、明確ではないがeスポーツをおこなった群は実施後の方が「昔の自分を取り戻した」傾向が見られました。認知機能そのものはトレイルメイキングテストとワンバックタスクによって脳の情報処理能力について調べました。これもeスポーツ実施による改善傾向が見られました。身体能力においては開眼片足立ちと握力について調べたところやはり向上の傾向が見られました。※豊前市報告会の模様はこちら

豊前市では後藤市長も参加の対戦会開催も
開眼片足立ち測定。eスポーツによる身体能力の変化も調査

対象人数がそれほど多くなかったので明確な差として出せるまではいきませんでしたが、このように良い影響の可能性として示されたことが大きかったです。今後は対象者を増やしながら継続的に研究していきたいと思っています。豊前市後藤市長はたいへん積極的にeスポーツにも期待を寄せられ、後藤市長との対戦会は大いに盛り上がり、高齢者に対するeスポーツの可能性の大きさ・楽しさを感じました。

今後の展望について

作花会長:豊前市研究を評価頂いた会員企業リーフラス株式会社さんが、大分県中津市の温泉宿泊施設コアやまくに内にeスポーツ機材を揃え、地域で愛されるeスポーツ施設山国eeeスポーツフィールドをオープンさせました。(オープニングイベントの模様はこちら)このように各地域で気軽に皆で楽しめるeスポーツの動きに繋げて行けたらと考えています。また普及に伴い増えるeスポーツプレーヤーに対するアンケートリサーチも進めて行く予定です。

磯貝理事長:研究方面の展望として、FeRCの研究者や企業の共同執筆で「eスポーツの科学的な視点」で執筆した本を出版予定です。(2021年9月に向け執筆中)またこれまで自然科学的な研究が多かったのですが、今後はこれに加え社会科学、例えば町おこしのコミュニティ的な研究でまとめてみるなど、幅広い参画研究者のお力でやって行きたいと考えています。

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FM福岡 【Have Fan!!e-sports】最終回!作花会長&磯貝理事長W出演

2021.3.26

FM福岡 【Have Fan!!e-sports】3月25日最終回!作花会長&磯貝理事長W出演しました

右から)パーソナリティ西川さとりさん、作花浩聡会長、磯貝浩久理事長

FM福岡 【Have Fan!!e-sports】最終回

福岡のeスポーツに取り組む様々な関係者が出演する同番組、残念ながら今回をもって最終回、いったん終了だそうです。FeRCからも多数出演させていただき、“eスポーツを科学する”という取り組みにたいへん共感して下さった同番組と西川さとりさんに感謝いたします。

同番組3月25日分のブログはこちら

ラジオでのトーク概要についてご紹介します!

この1年間の研究の紹介

①eスポーツプレイヤーのパフォーマンスと関連する認知要因の実験的検討(2020年)

FeRCの第一弾研究となったこのリサーチは、eスポーツにおいて「どう判断しているか」「どこを見ているか」といった認知要因について研究したもの。特に複数のものを同時に見る能力=複数対象追跡のスキルが上がると、グランツーリスモのタイムが短縮されたという結果が得られました。このようなトレーニングを行う事でタイムをもっと短く出来るのではないかという可能性が示された研究です。なお、この研究での複数対象追跡トレーニングはカナダモントリオール大学で開発され世界中で研究対象となっているニューロトラッカーが用いられました。

複数対象追跡(MOT)スキルトレーニングとして活用されるニューロトラッカー
研究では博多を拠点とするニワカゲームス選手が協力

ニューロトラッカーは特にeスポーツのみならず、一般の運転スキルの向上、リアルスポーツアスリートによる競技スキル向上、学習時における集中力持続時間向上などが期待され、幅広い分野で活用されています。

②競技レベルの違いによるeスポーツプレー中の視覚探索方略及び感情状態の比較(2020年)

感情状態はeスポーツプレー中の脳波を測定し、熟練者と非熟練者を比較しました。熟練者はプレー中もリラックスした状態をキープし、途中不安になったりせず安定した脳波の状態でプレーが出来ている事が明らかになりました。非熟練者は場面によって興奮したりするなど感情の起伏がみられました。eスポーツ熟練の為には、感情の起伏を抑えコントロールするトレーニングが重要ではないかと示唆されました。

研究にあたる古門良亮先生(西日本工業大学)
FPS熟練プレーヤーは画面のどこを見ているか

視覚探索方略は、プレー中いつどこをどれくらい見ているか、という測定を行いました。熟練者と非熟練者で大きな違いがあり、熟練者は味方の動きをよく見る事が多いという事が数値として明確に確認できました。チームプレー、チームワークが重要なゲームにおいてこれはたいへん面白い結果でした。

③ゲーミンググラスがeスポーツ使用時の自律神経に及ぶ影響(2021年) 詳細はこちらを参照

eスポーツによって身体的精神的疲労が考えられますが、それらに対してゲーミンググラスがどのような影響を及ぼすのか調査しました。結果、ゲーミンググラス(ニデック社G-SQUARE)を使用すると疲れにくくなることが自律神経のデータから明らかになりました。

G-SQUAREとニデック社インタビュー記事はこちら  

TEHC.C福岡でのプレーヤー自律神経測定
G-SQUAREウェブサイトにて公開

④eスポーツ実施を通した地域高齢者の認知症予防(2021年) 一般公開資料はこちらを参照

福岡県豊前市との協定に基づき行いました。eスポーツ(グランツーリスモ・ぷよぷよ)をおこなった群とおこなわなかった群にわけ様々な指標で評価しました。まず一つ、高齢者の生きがい・幸福感が変わるのか調べたところ、明確ではないがeスポーツをおこなった群は実施後の方が「昔の自分を取り戻した」傾向が見られました。認知機能そのものはトレイルメイキングテストとワンバックタスクによって脳の情報処理能力について調べました。これもeスポーツ実施による改善傾向が見られました。身体能力においては開眼片足立ちと握力について調べたところやはり向上の傾向が見られました。※豊前市報告会の模様はこちら

豊前市では後藤市長も参加の対戦会開催も
開眼片足立ち測定。eスポーツによる身体能力の変化も調査

対象人数がそれほど多くなかったので明確な差として出せるまではいきませんでしたが、このように良い影響の可能性として示されたことが大きかったです。今後は対象者を増やしながら継続的に研究していきたいと思っています。豊前市後藤市長はたいへん積極的にeスポーツにも期待を寄せられ、後藤市長との対戦会は大いに盛り上がり、高齢者に対するeスポーツの可能性の大きさ・楽しさを感じました。

今後の展望について

作花会長:豊前市研究を評価頂いた会員企業リーフラス株式会社さんが、大分県中津市の温泉宿泊施設コアやまくに内にeスポーツ機材を揃え、地域で愛されるeスポーツ施設山国eeeスポーツフィールドをオープンさせました。(オープニングイベントの模様はこちら)このように各地域で気軽に皆で楽しめるeスポーツの動きに繋げて行けたらと考えています。また普及に伴い増えるeスポーツプレーヤーに対するアンケートリサーチも進めて行く予定です。

磯貝理事長:研究方面の展望として、FeRCの研究者や企業の共同執筆で「eスポーツの科学的な視点」で執筆した本を出版予定です。(現在年内出版に向け執筆中)またこれまで自然科学的な研究が多かったのですが、今後はこれに加え社会科学、例えば町おこしのコミュニティ的な研究でまとめてみるなど、幅広い参画研究者のお力でやって行きたいと考えています。


FM福岡 【Have Fan!!e-sports】は将来eスポーツで活躍する未来人の育成を目指して、関わる人々が毎週様々に出演してきました。
(これまでの主な出演者)
中島賢一さん(福岡eスポーツ協会会長)☆古賀聡さん(ニワカソフト株式会社代表取締役)☆作花浩聡会長(大原学園福岡校eスポーツ部顧問)☆磯貝浩久理事長(九州産業大学)☆西薗秀嗣教授(九州産業大学)☆谷川剛士先生(TECH.C福岡)☆伊藤僚洋先生(FPSゲーミングコーチ)☆大原学園eスポーツ部の皆さん☆神崎保孝先生(臨床心理士)☆ニワカゲームス古川選手/荒木選手/龍選手/小田英天取締役/eスポーツ事業部太田寛さん☆鈴木達朗事務局長(FeRC)☆古門良亮先生(西日本工業大学)☆夏目季代久教授(九州工業大学)☆平良美津子先生(福岡市立こども病院眼科視能訓練士)☆井上一馬さん(リーフラス株式会社専務執行役員)☆TECH.C福岡福田歩先生塩川実都先生その他多数
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イベント報告≫親子でeスポーツ体験会

2021.3.22

3月20日(土)やすらぎの郷やまくに にてeスポーツ体験会開催

大分県中津市に山国eeeスポーツフィールド誕生

大分県中津市山国町のコアやまくにに、温泉施設「やすらぎの郷やまくに」があります。FeRC参画企業リーフラス株式会社が管理運営されている温泉・宿泊・研修施設を兼ね備えた、地域の人々に愛されている施設です。※リーフラスインタビュー記事はこちら

ここに山国eeeスポーツフィールドが誕生したことを記念して、親子でeスポーツ体験会が開催されました。

FeRCからも、会員研究者や企業が協力参加しました!多くの親子が参加したイベント、今回はその模様をリポートします!

潮井川修一先生講演【eスポーツと眼の関係~ゲームとの正しい付き合い方とは?~】

潮井川修一先生視能訓練士(国家資格)という両眼視機能の専門家であり、福岡国際医療福祉大学でご活躍の研究者です。FeRC参画研究者としても、眼とeスポーツの関係について啓発活動や研究にご尽力いただいています。

保護者なら誰しも気になるところの、「ゲームで眼が悪くなるのでは?」などの疑問に対して、まず眼の構造や近視遠視などの基礎知識を紹介しながら分かりやすくお話し頂きました。米国眼科学会が紹介している20-20-20ルール ※20分ごとに休憩し20フィート(約6m)以上遠くを20秒見る 等についてもお話しがありました。保護者の方々にも、全て「ゲームは悪い」とするのではなく、上手な付き合い方について理解が深まったのではないかと思います。

ニワカゲームスメンバー登場!

ニワカゲームスによるグランツーリスモ解説

お待ちかねeスポーツ体験!博多を拠点に活躍するeモータースポーツチーム「ニワカゲームス」のメンバーさんが登場!国体2位の龍選手を輩出しているほか、JeGT正式参戦中の有名チームです。

まずはグランツーリスモの説明と古川拓己選手による走行披露!見事なドライビングと「たかがゲームじゃない、シミュレーターだ!」というとてもシビアな世界だ、と親子で驚かれていました。

古川拓己選手 初めて見る人も「凄い!」さすがの走行

親子で楽しもう!

さていよいよeスポーツ体験会です!

古川選手が丁寧にレクチャー♪

こちらは ぷよぷよ 国体プログラムにも採用されたタイトルで、女子も楽しくトライ!親子で対戦、って実は普段なかなかしないんですよね、という声も。

親子対決はだいたい保護者が負ける(笑)
お父さん…と思ったら潮井川先生でした

新しい脳認知トレーニング ニューロトラッカー体験

アビスパ福岡J1昇格の原動力となった新しい脳認知トレーニング ニューロトラッカーneurotrackerの解説と体験会!

脳認知トレーニング解説するFeRC鈴木事務局長

スポーツ・勉強・職場・eスポーツ・高齢者運転など様々な場面で重要性が指摘される脳認知機能のトレーニングについて解説がありました。FeRCでもリサーチ第一弾はこのニューロトラッカーが研究で用いられ、ニワカゲームス選手の走行タイム短縮という結果が得られました。マンチェスターユナイテッドはじめ世界中のトップクラブチームが採用するニューロトラッカー、もちろん皆様初体験でした。

ニューロトラッカーは複数対象追跡(MOT)の一つ

盛況のうちに終了!

和の空間にeスポーツという、山国eeeスポーツフィールド、とても素敵でした。ご参加の親子の皆様ありがとうございました。我々FeRcも“eスポーツを科学する”をもとに、皆様に楽しんでいただけるイベントに参加出来てたいへん楽しく嬉しい一日でした!主催のリーフラス株式会社井上様、岩尾様、ありがとうございました!

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【公開】2020年度豊前市研究事業報告資料(抜粋)

2021.3.13

-2020年度豊前市研究事業報告資料を公開します-

この資料は豊前市との協定に基づきとりまとめられた2020年度豊前市eスポーツ高齢者研究報告書の抜粋として豊前市への報告会で使用されたものです。

2020年度豊前研究報告会資料

研究主幹福岡e スポーツリサーチコンソーシアム
研究機関九州産業大学・九州工業大学

ご興味のある方は、上記にてどなたでもご覧いただけます。

なお、報告書本編に関してはFeRC会員のみへの公開となっております。

【研究チーム】

夏目季代久(九州工業大学大学院生命体工学研究科教授、FeRCリサーチ部会委員)/磯貝浩久(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科教授、FeRC理事⾧)/西薗秀嗣(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科教授、FeRCリサーチ部会委員)/神崎保孝(福岡県教育委員会SCスーパーバイザー、臨床心理士、FeRCリサーチ部会委員)/阪田俊輔(九州産業大学健康スポーツ科学センター助教、FeRCリサーチ部会委員)/本山清喬(九州産業大学健康スポーツ科学センター助教、FeRCリサーチ部会委員)/溝上雅彦特定非営利活動法人健康な社会をつくる会理事⾧)/斉藤嘉子一般社団法人行動評価システム研究所、FeRC事務局)/堤喜彬(九州工業大学大学院生命体工学研究科・大学院生)/安部恵梨菜(九州工業大学情報工学部・学部生)


FeRCでは今後、この第一弾研究で得られた知見をもとに、さらに精度の高い研究となるよう引き続き研究に取り組んでまいりたいと考えています。

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【企業がe!】リーフラス株式会社②井上一馬さんインタビュー

2021.2.17

【企業がe!】リーフラス株式会社②井上一馬さんインタビュー

FeRC参画企業の情熱や取り組みをご紹介する【企業がe!】

第7回は前回に引き続き、スポーツスクール事業を中心にリアルスポーツを通じて全国で事業展開を手掛けるリーフラス株式会社 井上一馬さんインタビュー。

全国46,000人以上の会員数を有するリアルスポーツスクールの雄・リーフラスが捉えるeスポーツビジネス像とは。創業以来、一貫して捉えてきた地域の抱える社会的課題とは。広がり続ける魅力的な事業展開のお話を交えながら、リアルスポーツ事業者ならではの視点によって新たな気づきを与えてくれる充実のインタビュー続編です。


高齢者スポーツサービスについて

‐‐‐子どもたちのスクール事業・部活動支援。とても共感できるお話ですね。一方で、高齢者のスポーツ事業についてもとうかがいたいのですが。

はい、リーフラスでは高齢者を対象としたスポーツ・健康運動サービスを展開しています。(ヘルスケア事業

「高齢者」の定義は現在のところ65歳以上ですが、かつての高齢者よりも元気な方が本当に多いんですよね。実際拝見していると、女性の方が集まってコミュニティを作って何かやろうという事に積極的な方が多いです。男性の方がそういう事が苦手/おっくうだという傾向にあります。

このまま運動を習慣化しないと不健康になってしまいますよ、健康寿命を延伸しましょう、というなかで高齢者のマインドに合わせて、集団スポーツではないけどスポーツたり得るものが無いか、などを模索しています。

eスポーツをどう見ているか

‐‐‐リーフラスさんのスポーツを通じた事業展開たいへん興味深くて、またeスポーツにも繋がる要素がたくさんありそうです。井上さんはeスポーツをどのようにご覧になっていますか、またこれから関わりたい方向性などについてお聞かせください。

最初にお話ししたように、FeRCに参画したことをきっかけに、eスポーツに対して気づきがたくさんありました。

具体的には、パーソナルコンピュータと違ってeスポーツとしてチームで協力してやる。対戦の前後にきちんと挨拶をする。相手に罵声を浴びせないなど、スポーツマンシップをちゃんと重んじながら運営する大会がある。そういう動きを知ってから見方が変わったように思います。そこから、例えば不登校の子にとっては重要なコミュニケーションの場になっていたり、それがきっかけとなって友達が出来て学校に行けるようになったりとか、お話を聞くほど興味が湧いてきました。

私たちはこれから、eスポーツを“ソーシャルな位置づけ”にしていきたいと考えています。FeRCでは多くの研究者が研究に取り組んでおられますが、これから出てくるであろう研究結果を世の中に広めて、具体的に健康で健全なeスポーツの普及に貢献していきたいなと思っています。

最近このFeRCを通じて、eスポーツに着目して取り組んでいる人々とお会いする機会が多くなり、私の中でeスポーツのもつ可能性に対し確信めいたものが出来ています。これを具体化していきたいですね。

‐‐‐学校におけるeスポーツ部設立のニュースが多いのですが、御社の部活動支援と繋がりそうですね。

高校のeスポーツ部は各地で設立が進んでいて、200校を超えさらに増加中と聞いています。この動きは、私たちがリアルスポーツの部活動支援事業で目の当たりにした課題と同じものが出てくるだろうと予測しています。顧問のミスマッチ、先生の過重労働etc これに対して、専門知識をもった指導員が支援/指導する、eスポーツと正しい距離感で向き合える教育ができる。そしてeスポーツを教える職業として成立し、新たな雇用が生まれて、eスポーツ界にも大きな貢献になる。そういった提案が出来ていけたら…と考えています。

部活動はチームの素晴らしさを経験し、礼儀やマナーを身につける場でもあります。リアルスポーツもeスポーツも同じだと思っています。

ちょっと脱線しますが、リアルスポーツの部活動で集団練習を行い帰宅しますが、その後も情熱のある子どもは家で自主練習する場合もあります。ただ…そんなに長い時間やれるものでもありませんよね。逆説的ですが、eスポーツ部活動も同じで、ゲームは学校でみんなと一緒に。帰宅したらしない、という区別が付くかもしれませんね。

‐‐‐高齢者のeスポーツに関してはどのようにご覧になっていますか?

高齢者の脳の活性化・認知症予防などに対しての効果も大いに期待しています。FeRCでは豊前市のグランツーリスモなどを使った研究が始まっていますが、そうした研究成果を活用しながら積極的に広めていきたいなと考えています。

各地域の公民館単位でやれたら良いですよね。たとえばとある公民館に午前中は高齢者の方々が集まってワイワイと楽しむ。夕方になると子どもたちが集まってまたワイワイ楽しくやって宿題して帰る。ときどき、おじいちゃんおばあちゃんと子どもたちの交流戦があって、高齢者チームの方が上手だったり。そうなると、地域に根付いたと言えるのではないでしょうか。考えるとワクワクしますね!

施設管理事業とeスポーツ

これまでの事業に加えて、最近は施設管理事業を開始しました。大分県中津市山国のコアやまくにという温泉・スポーツ・宿泊・研修を備えた複合施設です。地域に愛されていて近隣の方々は皆さん毎日お風呂に入りに来ています。この施設は、スポーツでどう地域活性化出来るかをテーマに管理運営させて頂いていまして、スポーツ合宿の誘致も積極的に行っています。

この施設で機材を準備しeスポーツにも取り組んでいこうと計画中です。例えば温泉利用の方々が風呂上りにeスポーツに親しむ。先ほどのeスポーツ部やプロeスポーツチームが合宿に来て、午前中は登山やリアルスポーツで汗を流し午後からゲームに取り組む、など面白いと思っています(笑)

アパレル事業ALL4

‐‐‐リーフラスさん、そういえばアパレル事業も(笑)

 2020年4月に、自社で【ALL4】というスポーツアパレルブランドを立ち上げました。語源は“四方に良し”から。

パーカーやコーチジャケットなどをラインナップしていて、2021年からさらにアイテム拡大予定です。

本体の事業というより、ここで出た収益を使ってスポーツ界の普及/発展/課題解決に活用していく目的で立ち上げました。色々なスポーツアパレルブランドがありますが、購買者が選ぶときに「これを買ったらこういう事があるよね」と支援に繋がるようなブランドを目指しています。例えば車いすバスケットボールはやれる場所が限られているという問題があります。フロアが激しく痛むからです。そこでフロアのワックス塗り替え費用をこの収益から負担しましょうか、といった形で還元できたら、プレーヤーにも観客にも皆に良い効果があるブランドになるのではないか。それならこのブランドを買おうか。まさに四方に良し、と進んでいけるのではないかと考えています。

アパレルはスポーツシーンにおいて重要です。トップ選手が華やかなアパレルを着るとそれだけで競技の印象が変わったりしますよね。卓球を例に挙げると、女子選手のユニフォームなどが華やかになって一気に競技イメージが変わりファンが増えたりとか。これから力を入れて展開していくつもりです。

‐‐‐幅広いリーフラスさんの事業展開からeスポーツへの関わりや志向まで、とても充実したお話ありがとうございました!さすがリアルスポーツを“社会的課題の解決”と捉え事業化されてきたリーフラスさん、eスポーツにもそのまま当てはまるお話の数々でした。

今後もFeRCでの活動も含めて一層のご活躍を祈念しております!

 


【井上一馬】Inoue Kazuma リーフラス株式会社 上席専務執行役員 ソーシャルアクション統括本部副本部長 西日本エリア統括兼九州支社長

リーフラス創業時はサッカースクール指導員として従事。その後、東京進出・関東圏拡大の責任者として活動。種目の増設を行い現在は10種目を実施。M&A後の組織改革や新事業開発などを手掛ける。プロバスケットボールチームの取締役兼GMとしてプロスポーツの経営・運営にも従事。その後、専門学校にてスポーツマネジメント学科の新設に取り組み、教務・営業も兼ねる。現在は部活動の改善・施設管理・スポーツ療育(障害児支援)・体育授業支援・健康増進・地域活性化など、「スポーツ・教育・健康・地域」をテーマに様々活動を行っている。e-sportsが上記テーマと融合することでそれぞれが発展する可能性を感じてFercに参加。

【リーフラス株式会社】https://leifras.co.jp/

2001年創業、本社東京都港区。資本金/1億2,500万円(資本準備金含む)スポーツスクール運営/スポーツイベントの実施/スポーツウェア・グッズの販売ほか様々な事業を手がける。福岡eスポーツリサーチコンソーシアム団体運営会員。

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