【研究者の眼】杉本晃一 鍼灸師①

2023.6.11

【研究者の眼】杉本 晃一 鍼灸師①

eスポーツ共同研究団体FeRCに参画する研究者の知見をご紹介する企画「研究者の眼」

FeRCイベントで高い人気の鍼灸体験コーナーでも知られる鍼灸師杉本晃一先生のインタビューです。

『eスポーツ×鍼灸』にチャレンジする経緯と狙いとは?「フリーランス鍼灸師が注目するeスポーツ×鍼灸の親和性」とは?異業種交流にも積極的な杉本先生におうかがいしました。

文責:FeRC事務局

“eスポーツに関わる鍼灸師”

事務局:杉本先生、本日はよろしくお願いします。杉本先生はフェルク参画会員としていつも積極的に関わってくださっている医療専門職のお一人です。鍼灸師として初めて参画いただきました。

杉本:こちらこそよろしくお願いします。

私は年齢的にファミコン・スーパーファミコン世代で、小中学生の頃はゲームばっかりして育ちました。

時が流れ、2019年頃にeスポーツが盛り上がってきて、あの頃ぼんやり思ってた「ゲームをすることが仕事になればいいのに」が現実のものになりました。

そんな新たな時代の流れに、鍼灸師として関わってみるのは面白いんじゃないかなーと思い、色々と調べる中で「eスポーツを科学する」というお題目で活動をしてたFeRCを見つけて参加したという感じです。

事務局:杉本先生は日本マンガ学会で発表(テーマ/マンガの中の鍼灸)されるなど、異業種交流にとても積極的です。

杉本:FeRCで最初にやらせてもらったのはアンケートプロジェクト。

参加した時点ではeスポーツの世界についてほとんど知らない状態だったので、まずはそもそもプレーヤーの方々はどんな身体の症状を持っているのか?というのを知ることからやってみようと思いました。

会員の皆さんや関係のあるプレーヤーの方などに協力いただきアンケート調査を実施しました。

結果は肩や首のこり眼精疲労腰痛手や腕の痛みなど、長時間ゲームしてたら起きそうな症状が予想通り上位を占めました。

これは鍼灸治療めっちゃ効果出せるやん!需要めっちゃあるやん!これはいけるな!て思いました(笑)


次はFeRCサイエンスセミナー(有料配信)でFAIR PLAYの森田さんとの対談形式で鍼灸とeスポーツについてお話ししました。

 ▷▷関連リンク 株式会社FAIRPLAY

まずは鍼灸について知ってもらうのが大事かなと思い、お引き受けしました。

その中で実際に森田さんが講師をされてる学校の学生さんに、実際に鍼灸を受けてもらって、あらためて鍼灸師が普段やってる治療をそのままやればいい。野球でいえば正面のゴロを捕って投げるだけで喜ばれる!てのを実感して、

需要めっちゃあるやん!これはいけるな!てもう一回思いました(笑)

 ▷▷関連記事リンク)予告編公開 第2回FeRCサイエンスセミナー‐鍼灸 × eスポーツ⁉‐~

その次が昨年2022年のイベント出展ですね。

ファミリeフェスでは鍼灸について講演しつつ、

参加者の方に鍼や灸を見てもらう展示ブースとちょっとした治療体験もさせてもらいました。

 ▷▷関連記事リンク)【イベントレポート】ファミリeフェス

ファミリeフェスで講演
ミニ治療体験コーナーも好評
他の医療専門職との交流も

北九州のイベント(注/北九州市立スペースラボアネックス)では、鍼灸の展示とベッドを持っていってもう少しちゃんとした治療体験コーナーをさせてもらいました。メイン参加者の子供達より保護者の方々からのリアクションが良かったのを覚えてます(笑)

北九州市立科学館アネックスで開催 eスポーツサイエンス体験会
子どもたちの保護者に大好評の鍼灸治療体験

 ▷▷関連記事リンク【イベントレポート】in北九州eスポーツサイエンス体験会2022年月記事

eスポーツプレーヤーと近しい鍼灸

事務局:杉本先生はeスポーツと鍼灸は親和性が良いとおっしゃっていますね。そのあたりあらためてお聞かせください。

杉本:先ほどのアンケートでの結果でもあったように、eスポーツプレーヤーが持つ症状と鍼灸治療は相性がいいんですよ。

肩や首のこり眼精疲労腰痛手や腕の痛みなどはいわゆるVDT症候群ともよばれ、デスクワーカーによくみられる症状です。

その症状の改善を目的に鍼灸治療を受けに来られる患者さんが多いので、それがそのままeスポーツプレーヤーの身体のケアにも使えると私は考えています。

そしてeスポーツの大会の模様をテレビ番組などで見ると、大会のレベルが上がるにつれ肉体・精神ともに相当な負荷がプレーヤー達にかかっていそうで、これはリアルスポーツと同様にそれらをケアするトレーナーの存在が必要だと思いました。

実際にeスポーツチームから依頼を受けて鍼灸師がケアを行っているケースもすでにあるようです。

ここ最近は高齢者にも認知機能や運動機能を維持する目的でeスポーツが注目されていたりしますが、やはり中心は若年層なので、若いうちからでも競技レベル問わず健康的にeスポーツを楽しむには何らかの身体のケアは必要かなと思います。

それはeスポーツに限ったことではないですけどね。

そこに鍼灸師が関わることができれば、鍼灸の需要ももっと上がってくるんではないかなと。

⇛歴史ある鍼灸からeスポーツに踏み込んだ杉本先生に聞く、鍼灸の現状とコラボで拓くこれからとは?

明日から出来るセルフケアまで、お話の続きは次回!

【ラジオ出演アーカイブ】

2023.6.1 コミュニティラジオ天神fm77.7

佐藤雄一さん(FeRC運営委員)の番組 Our Stories~私たちの物語~ に杉本先生出演!

アーカイブをYouTubeで聴けます!


【杉本晃一】すぎもとこういち 鍼灸師

2008年明治鍼灸大学(現:明治国際医療大学)卒業。大阪で鍼灸師・柔道整復師として2年間働くも臨床に向いてないと感じ、教員を目指し明治国際医療大学大学院へ。教員資格取得後は2012年から九州医療専門学校鍼灸師科で教員として11年間勤務。現在はフリーランスとして活動。マンガ4000冊以上を所有、「マンガの中の鍼灸」のテーマで学会発表(日本マンガ学会2015~2016)。SNSでは「#喫煙ルームでお灸」でお灸の普及活動をしている。趣味はデカ盛りと阪神タイガース。Twitterアカウント https://twitter.com/mogisu1119