豊前市研究が日本スポーツ産業学会第30回大会で発表されました

2021.7.13

豊前市における高齢者eスポーツ研究が、日本スポーツ産業学会第30回大会で発表されました。

日本スポーツ産業学会第30回大会(2021年7月10日(土)~11日(日)

【一般研究発表】

 『eスポーツの実施が高齢者の認知機能及び幸福感に及ぼす影響 *』
(発表者)斉藤嘉子 (九州工業大学大学院 生命体工学研究科 ))

** 共同研究者: 夏目季代久 (九州工業大学 )*** 神崎保孝 福岡県教育委員会 東京大学大学院 医学系研究科 ))**** 堤喜彬 (九州工業大学大学院 生命体工学研究科 ))***** 磯貝浩久 (九州産業大学 )******

発表者の斉藤嘉子先生は九州工業大学大学院 生命体工学研究科博士号課程の研究者です。FeRC事務局も兼任し、一般社団法人行動評価システム研究所主席研究員としても活躍されています。

斉藤嘉子先生コメント

 グランツーリスモぷよぷよは私自身プレイしてみて難しいと感じたのですが、今回実験参加くださった高齢者の皆様は期間中楽しんでしっかりプレイされていました。これには驚くと同時に、eスポーツの大きな可能性を感じる事にもなりました。
 実験現場で丁寧に使い方などをガイドしてくださったスポーツクラブスタッフ皆様にもあらためて感謝申し上げます。
 新しいことにチャレンジすることは、歳とともに億劫になっていくものですが、若者が教えることによって世代間交流が深まり、高齢者の生きがい幸福感認知機能の向上などに繋がっていくのではないかと期待しています。

発表された抄録はこちらのページで公開しています。リリースページ⇒調査レポート


【豊前市における2020年高齢者eスポーツ研究関連ページ一覧】

豊前市と【eスポーツいきがい研究事業に関する協定】を締結

九州工業大学・九州産業大学を中心とした研究チーム10月6日~調査開始

豊前市高齢者研究 実地リポート①

豊前市高齢者研究 実地リポート②

2020年度【豊前市研究事業】報告会

【公開】2020年度豊前市研究事業報告資料(抜粋)

 

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2020年度FeRC研究紹介

2021.4.11

FeRCは2021年2月で設立1周年を迎えました。この1年間でのeスポーツ研究についてご紹介します。

この1年間の研究の紹介

①eスポーツプレイヤーのパフォーマンスと関連する認知要因の実験的検討(2020年)

FeRCの第一弾研究となったこのリサーチは、eスポーツにおいて「どう判断しているか」「どこを見ているか」といった認知要因について研究したもの。特に複数のものを同時に見る能力=複数対象追跡のスキルが上がると、グランツーリスモのタイムが短縮されたという結果が得られました。このようなトレーニングを行う事でタイムをもっと短く出来るのではないかという可能性が示された研究です。なお、この研究での複数対象追跡トレーニングはカナダモントリオール大学で開発され世界中で研究対象となっているニューロトラッカーが用いられました。

複数対象追跡(MOT)スキルトレーニングとして活用されるニューロトラッカー
研究では博多を拠点とするニワカゲームス選手が協力

ニューロトラッカーは特にeスポーツのみならず、一般の運転スキルの向上、リアルスポーツアスリートによる競技スキル向上、学習時における集中力持続時間向上などが期待され、幅広い分野で活用されています。

②競技レベルの違いによるeスポーツプレー中の視覚探索方略及び感情状態の比較(2020年)

感情状態はeスポーツプレー中の脳波を測定し、熟練者と非熟練者を比較しました。熟練者はプレー中もリラックスした状態をキープし、途中不安になったりせず安定した脳波の状態でプレーが出来ている事が明らかになりました。非熟練者は場面によって興奮したりするなど感情の起伏がみられました。eスポーツ熟練の為には、感情の起伏を抑えコントロールするトレーニングが重要ではないかと示唆されました。

研究にあたる古門良亮先生(西日本工業大学)
FPS熟練プレーヤーは画面のどこを見ているか

視覚探索方略は、プレー中いつどこをどれくらい見ているか、という測定を行いました。熟練者と非熟練者で大きな違いがあり、熟練者は味方の動きをよく見る事が多いという事が数値として明確に確認できました。チームプレー、チームワークが重要なゲームにおいてこれはたいへん面白い結果でした。

③ゲーミンググラスがeスポーツ使用時の自律神経に及ぶ影響(2021年) 詳細はこちらを参照

eスポーツによって身体的精神的疲労が考えられますが、それらに対してゲーミンググラスがどのような影響を及ぼすのか調査しました。結果、ゲーミンググラス(ニデック社G-SQUARE)を使用すると疲れにくくなることが自律神経のデータから明らかになりました。

G-SQUAREとニデック社インタビュー記事はこちら  

TEHC.C福岡でのプレーヤー自律神経測定
G-SQUAREウェブサイトにて公開

④eスポーツ実施を通した地域高齢者の認知症予防(2021年) 一般公開資料はこちらを参照

福岡県豊前市との協定に基づき行いました。eスポーツ(グランツーリスモ・ぷよぷよ)をおこなった群とおこなわなかった群にわけ様々な指標で評価しました。まず一つ、高齢者の生きがい・幸福感が変わるのか調べたところ、明確ではないがeスポーツをおこなった群は実施後の方が「昔の自分を取り戻した」傾向が見られました。認知機能そのものはトレイルメイキングテストとワンバックタスクによって脳の情報処理能力について調べました。これもeスポーツ実施による改善傾向が見られました。身体能力においては開眼片足立ちと握力について調べたところやはり向上の傾向が見られました。※豊前市報告会の模様はこちら

豊前市では後藤市長も参加の対戦会開催も
開眼片足立ち測定。eスポーツによる身体能力の変化も調査

対象人数がそれほど多くなかったので明確な差として出せるまではいきませんでしたが、このように良い影響の可能性として示されたことが大きかったです。今後は対象者を増やしながら継続的に研究していきたいと思っています。豊前市後藤市長はたいへん積極的にeスポーツにも期待を寄せられ、後藤市長との対戦会は大いに盛り上がり、高齢者に対するeスポーツの可能性の大きさ・楽しさを感じました。

今後の展望について

作花会長:豊前市研究を評価頂いた会員企業リーフラス株式会社さんが、大分県中津市の温泉宿泊施設コアやまくに内にeスポーツ機材を揃え、地域で愛されるeスポーツ施設山国eeeスポーツフィールドをオープンさせました。(オープニングイベントの模様はこちら)このように各地域で気軽に皆で楽しめるeスポーツの動きに繋げて行けたらと考えています。また普及に伴い増えるeスポーツプレーヤーに対するアンケートリサーチも進めて行く予定です。

磯貝理事長:研究方面の展望として、FeRCの研究者や企業の共同執筆で「eスポーツの科学的な視点」で執筆した本を出版予定です。(2021年9月に向け執筆中)またこれまで自然科学的な研究が多かったのですが、今後はこれに加え社会科学、例えば町おこしのコミュニティ的な研究でまとめてみるなど、幅広い参画研究者のお力でやって行きたいと考えています。

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“eスポーツの科学”出版計画進行中!

2021.4.8

FeRC監修【eスポーツの科学】(仮題)出版予定!

FeRCでは、eスポーツに関わる人々/これから関わりたいと考えている人々/興味のある方々などに広くお読みいただくための本【eスポーツの科学】を2021年9月出版予定です。※タイトル及び出版時期は変更の可能性があります

福岡eスポーツリサーチコンソーシアムに参画する各専門領域の研究者・専門家・企業などにより、鋭意執筆中!

内容は…順次お知らせできるタイミングで発信してまいります。

バイオメカニクス/スポーツ心理/脳情報工学/教育関係者/コミュニティ研究/ゲーム研究者/臨床心理士/視能訓練士など様々な領域の角度からeスポーツを科学した本、どうぞお楽しみに!

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【公開】2020年度豊前市研究事業報告資料(抜粋)

2021.3.13

-2020年度豊前市研究事業報告資料を公開します-

この資料は豊前市との協定に基づきとりまとめられた2020年度豊前市eスポーツ高齢者研究報告書の抜粋として豊前市への報告会で使用されたものです。

2020年度豊前研究報告会資料

研究主幹福岡e スポーツリサーチコンソーシアム
研究機関九州産業大学・九州工業大学

ご興味のある方は、上記にてどなたでもご覧いただけます。

なお、報告書本編に関してはFeRC会員のみへの公開となっております。

【研究チーム】

夏目季代久(九州工業大学大学院生命体工学研究科教授、FeRCリサーチ部会委員)/磯貝浩久(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科教授、FeRC理事⾧)/西薗秀嗣(九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科教授、FeRCリサーチ部会委員)/神崎保孝(福岡県教育委員会SCスーパーバイザー、臨床心理士、FeRCリサーチ部会委員)/阪田俊輔(九州産業大学健康スポーツ科学センター助教、FeRCリサーチ部会委員)/本山清喬(九州産業大学健康スポーツ科学センター助教、FeRCリサーチ部会委員)/溝上雅彦特定非営利活動法人健康な社会をつくる会理事⾧)/斉藤嘉子一般社団法人行動評価システム研究所、FeRC事務局)/堤喜彬(九州工業大学大学院生命体工学研究科・大学院生)/安部恵梨菜(九州工業大学情報工学部・学部生)


FeRCでは今後、この第一弾研究で得られた知見をもとに、さらに精度の高い研究となるよう引き続き研究に取り組んでまいりたいと考えています。

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2020年度【豊前市研究事業】報告会

2021.3.13

2021年3月10日豊前市役所にて後藤市長はじめ出席のもと2020年度eスポーツ調査研究報告会を行い、報告書を豊前市に提出しました。

(左から)FeRC研究者溝上雅彦氏、FeRC夏目季代久教授、後藤元秀市長、FeRC作花浩聡会長
豊前市・FeRCで締結したeスポーツ研究事業協定に基づき、実施した高齢者に対するeスポーツ調査研究第一弾の研究結果報告をおこなったものです。
※豊前市との事業協定についてはこちら
※第一弾研究の模様はこちら①  
 
◇後藤元秀市長
 豊前市がさきがけとなってこのような研究に協力できたことはたいへん喜ばしい。各自治体は高齢者の健康寿命延伸は喫緊の課題として取り組んでいるところだが、eスポーツもまた明るいこれからを切り開くテーマとして広く注目されている。あらためて研究者各位に御礼申し上げたい。
※後藤市長eスポーツ対戦会の模様はこちら
 
◇研究統括/夏目季代久教授(九州工業大学)詳細説明
 
【結果概要】
幸福感がeスポーツによって高められる可能性、実行/遂行機能や注意機能の改善される可能性、短期(作動)記憶処理の改善される可能性、配分性注意、認知的柔軟性の低下が抑制される可能性が示唆され、身体機能が部分的に改善された。
※より発展的な調査研究の必要性が示唆され、今後の継続的な実施が期待される。
 
◇作花浩聡会長
「eスポーツ研究データが世界でも少ないなか、高齢者の健康増進に対し大いに期待の持てる可能性が示唆されたと考える。豊前市モデルとして今後も自治体や地元企業などの更なる協力をいただきつつ、今回判明した課題を踏まえながら、引き続き規模を大きくした第二弾・第三弾調査研究を行っていきたい」

 

後藤元秀市長に報告書を手渡す作花会長
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